制作会社にイメージを伝えてなぜ失敗する?
言葉でイメージが伝わると勘違いするパターン。
ホームページ(Webサイト)制作のプロの制作会社に頼むのだから、イメージを伝えれば完璧なものが出来上がるだろうと思ってしまいがちですが、そうはいきません。
人間が言葉で何かを伝えようとした場合、本当に伝わるのは伝えようとした内容の数%だと言われています。
言葉で、一生懸命伝えても数%です。
それを、イメージだけで「女性っぽい感じ」とか「売れるように」とかでは、まったく伝わらないと言っても良いでしょう。
制作側もプロですから、経験上、それなりに作ることはできますが、それが伝える側のイメージとマッチしているかは別問題です。
と言うより、ほとんどは、マッチしません。
いつもツーカーの仲で仕事をしているなら別ですが。
「売れる店を作って!」
設計事務所に「売れる店を作ってください」と言ったら、どう反応するでしょう。
お店の場所や規模、何を売るのか、設備は何が必要か・・・様々な詳細を詰めなければ設計には入れないでしょう。
言葉ひとつでも捉えるイメージは人それぞれ
それでも、とにかく「プロにお任せします」と言って作ってもらうとします。
やむなく、お任せということで設計し始めると、まず、「売れる」の定義を考えなければいけません。
「商品が売れる」と定義しても、「店員が売りやすい構造」、「客が買いやすい導線設計」、「買いたくなるレイアウトや色彩」、「売れている店の内装をマネする」、「戦略的に行列が出来るような構造にする」など様々な視点があります。
しかし、社長は、店自体が将来売れるようにきれいに作って欲しいというイメージだったのに、商品が売れる戦略なんてどうでもいいと、イメージとはかけ離れた店舗が出来上がってしまったりします。
これは極端な例ですが、たったひとつの言葉でも、このように根本的な行き違いが生じることもあるのです。イメージで伝えるのは至難の技です。
人によって違う言葉のイメージ
イメージを共有できるような人間関係やバックグラウンドがあれば別ですが、仕事上の付き合いだけでは、言葉のイメージは伝わらないものです。
「男っぽいホームページ」と言っても、「ランボー」なのか、「高倉健」なのか、「キムタク」なのか、はたまた今流行りの「イケメン」なのか、人によってまったくイメージは違うでしょう。
それが年代によるものなのか、生活環境によるものなのかはさておき、言葉で伝えたイメージは、勘違いのまま進んでいきます。
出来上がって愕然
高倉健のような渋い男のイメージをしていた社長は、出来上がったサイトを見て愕然。
「なんだこのチャラチャラしたホームページは!」
なにしろホームページは、ほとんど高倉健を知らない世代が作っています。知っていても高倉健を男っぽいとは思わない世代かもしれません。
仕方なしに「もっと渋い感じに」と伝えても、”渋い”のイメージがまた違っていたりします。
結局、何度直しても思ったイメージにはならず、追加料金もかかることから、妥協して中途半端な状態になってしまいます。
本当にイメージできているのか
実は、イメージで伝えてくる人のほとんどが、具体的なイメージを持っていないことが多いのです。
「やさしいイメージで」などの抽象的な表現をされることがあり、「具体的にどんなイメージ(ホームページ例など)ですか?」と聞いても具体例は出てこず、こちらから「こんな感じですか?」と例を提示しても、「ちょっと違うなぁ」とか「お任せしますよ」とか。
正解がないから終わりがない
具体的なイメージがないわけですから、お任せで作っても満足できる仕上がりになることは、ほとんどありません。
そして、いつもの「ちょっと違う」という注文で、修正するわけですが、本人もイメージが出来ていないだけに、どこが違うのかわからないので、目に付いた色や形を指摘して「これを赤く」とか「ここをもっと丸く」とか注文をつけてくるわけです。
もちろん、それで良くなることもほとんどありません。
一応、デザインのプロがバランスを考えて作っているものを、素人が手を加えて良くなるわけがありません。
そして、ホームページは、どんどん改悪され目も当てられない状態になった頃、担当者の目がそのデザインに慣れてきて、その辺で妥協されるわけです。
制作者にも原因はある
本来、クライアントからイメージを指示されて作ること自体が間違っています。
ホームページは、目的とターゲットユーザーに合わせて、イメージを決めなければいけません。
このような問題は、制作者側がしっかりと提案を出来ていない場合に多く起こります。(筆者も初期の頃、よくありました)
何のためのイメージか
イメージは、あくまでもお客様を満足させるためのイメージであるべきです。
担当者や社長の好みではいけません。
そのホームページで、何をしたいのか、どんなユーザーを獲得したいのかに合わせてイメージを作ることが大切です。
詳しくは、「成功するホームページ制作」へ
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